ヴィクターちゃんは、悪役令嬢になりたいそうです 第115話その1 シグナムさんの苦悩と暗躍 2/2

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284 : あずももも◆2RUSVh/QzhjH : 2020/10/15(Thu) 21:02:02 ID:286498c0


                    ----
             -- ,.  ´        ` .
            /      /       ヽ \ \
         '  /     ,.ィ    \  __ V ヽ ',
          /   '    /'゙{      i 丶 ⌒ V ∧_ハ
          '         i  {   、 斗、‐-\ V ノ二\     ┌────────────────────────┐
       /ィ  :  i  .斗-八   { \{ \  ヽとィ^ー- \    │   ヴィクターちゃんは、悪役令嬢になりたいそうです    │
        |  i  {   {   \ 、 ィぅ笊示ミ }t'ニ^¨   ', / │                                    │
          И {  {   八ィぅ笊㍉( \乂rツ Ⅵ  ハ     V │     115話  シグナムさんの苦悩と暗躍 2/2     │
         }八 {  Ⅳ 乂ツ   ヽ   , , ノ  /圦       V └────────────────────────┘
          〈/)八 乂__ , ,  ,     ⌒7ィ . |. .iト     ハ /
          V/}/|\圦⌒      _,    '. ハ. .|. . . . ヽ    ∨^>、
          Ⅳ/|. . V. ::..  `      イ /. } }. .___∧     ∨./.\
          {.⌒乂. .∨∧〕iト  _  イ V. / . }/   ハ     V. ./. 〕iト
          八 . . . 〕iトV. ハ. . . ハ      ∨. ./   /  ',   ∨. . . . . . .〕iト
           \. . . . . V. .}. ./. }    //. . '   ,    ',     、〕iト -- . . . 丶
                 \. . ._ }. ,_厶イ  / ,. /   /、     :.       ',    ⌒\. \ /
              /⌒{/./___`¨ - /. ' __   {: : >、           }      ∧. . V
            ィ   ノ^____ ,ィi〔ニ{. {ニ=-〕iトV/. . \  }             / ハ. . .}
            / {.ィi〔ニニ=- /-=ニニ八.乂ニ=-}ニ∧ . . . 丶       '      / } . ,
             〈_/-=ニニニ=-{-=ニニニ〕iト -- r‐‐t.入. . . . . 〕iト _ /           ,/
              {-=ニニニ=-圦-=ニニニニニ=-,ニニ'.{⌒介o。 _j__          /
              圦-=ニニニニ=- -=ニニニニ=-イニ/.∧ '. . . }: i⌒\        //
      __  -- / 丶-=ニニニ=- ≧=- -=≦ハニ/. . . }/. . . .'. .{   ヽ    '. . .{
  _/⌒ . ィi〔⌒/    }≧=- <-=ニニニニニ=-V. . . ./. . . /{. 人    }\  {. . ∧
 '⌒¨ア. . . . . ./     ハ-=ニニニニニニニニニ=-{ . . /. . . /八. . . 〕iト .,. . . .> 八. . . 〕iト


285 : あずももも◆2RUSVh/QzhjH : 2020/10/15(Thu) 21:03:03 ID:286498c0


 ⌒''└L|⌒''T┬..,,_             |     。s≦- ̄__ -  ̄ _ - ¨ _ =- ¨
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  r∞∽∵ゝ-乂ノつo。         :|         |  |   | | ̄|_ -┬冖T丁|  |i:i:|i:| | 「T┬
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_|_|≫___| ̄|__≪||_        ||:       | |  |   |
|      (⌒| ̄|⌒)    |'´        ||:       | |  |   |
|ぇ|─────────ー|ヽ      :||:       | |  |   |         …………………………………………よしっ
|し|  rー───‐ ┬ー┐ :|ノ___   .||      [|_|_|_|   |
\|  ||::::::::::::::::::::::::: |:::::::|   || Y_゚_゚Yーー|l   γ7^ハ:| | ̄ |         交渉の結果、ブートキャンプは3ヶ月だけに
─|  ||:::::::::::rΩ┐:::|:::::::|   ||‐「_ハ:  __     ___
┐|  |||¨|了二二二|:::::::|   ||_リ__(_j /⌒> ´       ` .         なっちゃったけど
::|..|  ||| :|└─_二|:::::::|   ||iー| ┬_  /    ,i     丶 丶
丁|  |||^| ̄ ̄|_」⊥-┴┐||i-|:|┴| '   '  /''{       ', .
丁丁丁 ̄ ̄_二ニ=-   ̄  └ . _/ィ    ,ィ  { 、 丶    i  v__,     すっきりしたからもういいやっ
::|-─   ̄                 〈//|  { .斗-八  ト、 \‐- }  }〈
┘                      //'|    ハ{    ヽ{ \ 丶 l   '∧
                    〈//从 V ==    == ,: ////〉   ┌───────────────────┐
                    ^T \乂 , ,      , ,_/ ィ'¨T'^i     │もともと、そこまで怒ってなかったしなー     │
                      i   i⌒  、__,、__,  ⌒7 |  i |     │                                │
                      | i  込、       ィ  |  | |     │けど、「ほうれん草」                  │
                      | l  } i:i:i:>  _  <i:i:i:/ l  | |     │                                │
                       ,   } v.斗    トo。.'  }  | |     │……この世界にないんだよなーおいしいのに  │
                    / /ィ´ v ∧‐-    -‐ /  />、i |     │                                │
                       / //   }  }≧=--=≦{   ' , v∧    │教えたコレをを忘れてたのだけは、許さない  │
                   , _/  v }  }=-- __ --=v {_/   ', 、  └───────────────────┘
                 / {     /ニ}  }ニ{>{}<}ニ} }∧   丶\
                    ,    ハ   'ニニ} ,ニニニハニニニi }ニニ   /  ヽ
                {   /. .{¨ヽ{ニニi /ニニ=-=ニニViニニ}<¨}     }
                   八  {. ./  ∧ニニ}'ニニニ=--=ニニ}lニニイ ´ ∧   /
                   丶 /   /..丶ノ=--= ィ==≧=-ノlイ . ',  ∧ '


286あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:04:04 ID:286498c0


              ノ!
        , ゝi'´ ̄ ̄` ヽ'"´` 、
      / ,  , -    _  ヽ   ヽ       ………………………………ほんとうにお許しいだたけたのですか?
     / /,'l {   `ヽ 、 ヽ  }  l
   ; / イ{ ト、|゙、 .| u 、) .}l .} ミ》   | {     もし足りないのでしたら戦闘に支障のない指を何本か
    レ!小l● ヽトi`● | .i彡!!゙;  | ;
     ヽ|l⊃ 、_,、_, ⊂.|ノイノ"|  | .ガクガク.                        f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
     |ヘ   {  }   | lノ  i  | ;                               | 自傷もダメ 分かった?
    ;:  | r'⌒)、 ̄_, (⌒ヽ::ヽ|  {                                  ヽ___________乂_
  ガク …./ー-}l l l. レ |―:':}::::| ノ {
    ;  {::::::::ノ = O = ´|::::::::|:/|´  ;      はいぃっ!!


287あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:05:05 ID:286498c0


            - ── -  .   -- _
         ´            <⌒ヽ
    ___ /         ,ィv{     ヽ   \          ┌───────────────────┐
  〈//ア   /    /  /ハW           丶        │ほんとにも――……                 │
.   〉/  /   / ,ィ '""゙{   i     v           │                                │
  //'  '    '  斗-- {   | 、    V            │この世界の人は、命の価値が低いんだから  │
 <//{  i    { ハ {  八  ト、 \⌒  }    }       └───────────────────┘
  | ̄|   {    {/ィぅ示笊 \{ \{\  }
  |  |   {    { ,_)/:{    ヽ 笊示 `/
  }  {  V  { { 乂ツ      ,_):{  /   ' ハ{       ……それで、せっかくだし
    V  Ⅳ 八ハ , ,         ヒツ ,   /j/
    }  { V 介_ゝ      '   ' '厶ィ           クーデターの件について、続き聞かせてもらえる?
 '  /}  乂v  { u   ___        / {
/   /    }V  ト、  乂_ノ      イ  {
.  ′    /i:iV {: :≧s。   _ ィi〔  V ∧                        f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
/ /   /i:i:i_V∧    アi:i:i:i:i:i/  ∧ ∧                           | はっ! 喜んで!!
.  /   /ィi〔 ∨∧   〈i:i:i:i:i:i/  /  、  ',                        ヽ_________乂_ガッ ビシッ
 /  ィi〔   >、 ∨∧   ヽ〕iト  /     \∧
. ′ / ⌒ヽ     V ∧ ̄ ´    \     V∧
  /            V ∧      }  ',    V∧      ┌─────────────────┐
_/       ', / _v ∧ ____〈   V    ∨∧    │……訓練時の直立姿勢になってる…… │
           Vィi〔ニ}  ∧ニニニニ>、  、   }i:i:∧    └─────────────────┘
         {ニニニ}   }ニニニニニ∧  \ ノi:i:i:i:i',


288あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:06:06 ID:286498c0


   ┌──────────────────────────────── ── ─
   └────────────────────────── ── ─
   ┌──────────────────── ── ─
   └──────────── ── ─
   ┌──────── ── ─
   └── ── ─


┌────────────────────────────────────────────┐
│                                  ┌──────────────────────┐  │
│             --ミ、 _____            │……では、それを説明するために先の続きを      │  │
│          /            \        │                                │  │
│        /  /   ィァ  、  ',         │                                │  │
│        /ィ  ′ / { ト、\\}   }       │ヴィクターさまは、枷が科されるまでのあいだ     │  │
│           |  i Ⅳ⌒八{ ⌒\}   '      │                                │  │
│           |  { { i == ヽ == } ' ∧     │実に、……えぇ、少年らしい少女として         │  │
│           }/八 从⊃ 、_,、_, ⊂ ノィ}/i:i:〉     │                                │  │
│          /⌒ V込、  ゝ._)   イ /⌒){      │                                │  │
│        \   }..} > __ <}..}/  /.{      │自由時間は、楽しく過ごされていました            │  │
│           /.ヽ }..}⌒\___/^}..|ヘ_/. .{      │                                │  │
│        / . . /.八 <ニニ> ノ..j /. .八      │………………………………そう、自由時間だけは  │  │
│                                  └──────────────────────┘  │
└────────────────────────────────────────────┘


289あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:07:07 ID:286498c0


┌─────────────────────────────────────────┐
│                                ┌───────────────────┐ │
│                                │――――――しかし、枷が科されると     │ │
│                                │                                │ │
│             --ミ、 _____          │その自由時間でさえも、変わりました      │ │
│          /            \      │                                │ │
│        /  /   ィァ  、  ',        │                                │ │
│        /ィ  ′ / { ト、\\}   }     │外へ出歩くことも減り、市街のご友人とも    │ │
│           |  i Ⅳ─八{ ─\}   '      │                                │ │
│           |  { { i ● ヽ ● } ' ∧      │距離が遠のいていき                    │ │
│           }/八 从⊃ 、_,、_, ⊂ ノィ}/i:i:〉     │                                │ │
│          /⌒ V込、       .イ /⌒){     │                                │ │
│        \   }..} > __ <}..}/  /.{     │「ご令嬢らしい」振る舞いが、ほんの数日で  │ │
│           /.ヽ }..}⌒\___/^}..|ヘ_/. .{     │                                │ │
│        / . . /.八 <ニニ> ノ..j /. .八    │完全に身についたように見受けられました   │ │
│                                └───────────────────┘ │
└─────────────────────────────────────────┘


290あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:08:08 ID:286498c0


┌──────────────────────────────────────────────┐
│                                ┌─────────────────────────┐  │
│                                │……ですが、社交界を嫌っておられたのは明らかでした   │  │
│                                │                                      │  │
│                                │それも、公爵令嬢として……すでに婚約されていた      │  │
│                                │                                      │  │
│                                │ルルーシュさま関係ともなると、それが顕著でした        │  │
│                                │                                      │  │
│                                │                                      │  │
│             --ミ、 _____          │今は何故なのか、すべてを理解しておりますが         │  │
│          /            \      │                                      │  │
│        /  /   ィァ  、  ',       │……クラウスさま方とお話になるとき、お外に出られるとき   │  │
│        /ィ  ′ / { ト、\\}   }     │                                      │  │
│           |  i Ⅳ⌒八{ ⌒\}   '    │「外の顔」は「慈愛の笑みを絶やさない淑女」になりましたが  │  │
│           |  { { i ○ ヽ ○ } ' ∧     │                                      │  │
│    カチーン   }/八 从⊃ 、_,、_, ⊂ ノィ}/i:i:〉    │                                      │  │
│          ⌒ハ込、  {___}  .イ/ {i:i/     │それが、私たちをはじめとした世話人しかいなくなると     │  │
│          /. . .,介> _ <}..} . V     │                                      │  │
│           /. . / }..|^\___/^}..|ヽ∧     │笑顔が消え、ため息をつかれ、大好きな魔法の話もせず   │  │
│        / . . ( ⌒ ) <ニニ> ( ⌒ ). ∧     │                                      │  │
│                                │そのまま床につかれておりました                 │  │
│                                └─────────────────────────┘  │
└──────────────────────────────────────────────┘


291あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:09:09 ID:286498c0


┌─────────────────────────────────────────────┐
│                              ┌────────────────────────┐ │
│                              │………………そして、こちらへ来た際に聞かされたとおり │ │
│                              │                                    │ │
│                              │ある時期を境に、毎晩のように吐かれるようになりました │ │
│             --ミ、 _____          │                                    │ │
│          /            \      │                                    │ │
│        /  /   ィァ  、  ',       │真夜中、独り、お声を押し殺して……隠れるようにして   │ │
│        /ィ  ′ / { ト、\\}   }     │                                    │ │
│           |  i Ⅳ─八{ ─\}   '     │そうされるのを、私たち「側近」は知っておりました     │ │
│           |  { { i ○ ヽ ○ } ' ∧    │                                    │ │
│  オゲ、…… }/八 从⊃ 、__/| ⊂ ノィ}/i:i:〉    │                                    │ │
│          ⌒ハ込、 ゝ_/  .イ/ {i:i/     │ですので                                   │ │
│ ……オロロロロ   /. . .,介> _||.<}..} . V      │                                    │ │
│           /. . / }..|^\__||./}..|ヽ∧     │ヴィクターさまの周囲をヴィクターさま専属の者で固め   │ │
│        /.. ..( ⌒ ) <ニニ||>( ⌒ ). ∧     │                                    │ │
│                              │それが、オリヴィエさま方に漏れないようにしておりました │ │
│                              └────────────────────────┘ │
└─────────────────────────────────────────────┘


292あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:10:10 ID:286498c0


┌─────────────────────────────────────────────────┐
│                              ┌──────────────────────────┐  │
│                              │――しかし一方、公爵令嬢としての「お仕事」がない時間には  │  │
│                              │                                        │  │
│                              │外出の代わりに、楽しそうに「発明」「発見」をされていきました  │  │
│             --ミ、 _____              │                                        │  │
│     *    /            \       │                                        │  │
│   *  +  /  /   ィァ  、  ',      +   │その大半は、民の生活を向上させるためのものだったり     │  │
│         /ィ  ′ / { ト、\\}   }   +    │                                        │  │
│    +   + |  i Ⅳ⌒八{ ⌒\}   '     * │対魔物の戦闘……特に情報と兵站、それに情報共有について │  │
│      *  |  { { i ● ヽ ● } ' ∧  *    │                                        │  │
│           }/八 从// 、_,、_,///ノィ}/i:i:〉       │                                        │  │
│          ⌒ハ込、  ゝ._)   イ/ {i:i/       │……つまりは、人類そのものをより安全に、より豊かにする   │  │
│          /. . .,介> _ <}..} . V        │                                        │  │
│           /. . / }..|^\___/^}..|ヽ∧        │ヴィクターさまの……まだまだこどもでいらっしゃる方の人生は │  │
│        / . . ( ⌒ ) <ニニ> ( ⌒ ). ∧       │                                        │  │
│                              │すべて、それに捧げられていたのでした                │  │
│                              └──────────────────────────┘  │
└─────────────────────────────────────────────────┘


293あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:11:11 ID:286498c0


┌─────────────────────────────────────────────────┐
│                            ┌─────────────────────────────┐ │
│                            │それからのヴィクターさまの生活も、同じ方向を向いておりました    │ │
│           --ミ、 _____           │                                              │ │
│   *    /            \       │                                              │ │
│ *  +  /  /   ィァ  、  ',      + │成長されてきて、魔法も剣術もご両親に迫る勢いで伸びてきて     │ │
│      /ィ  ′ / { ト、\\}   }   +   │                                              │ │
│  +   + |  i Ⅳ⌒八{ ⌒\}   '      │そして、魔物討伐のために遠征を繰り返すようになり           │ │
│    *  |  { { i == ヽ == } ' ∧  *  │                                              │ │
│      }/八 从// 、_,、_,///ノィ}/i:i:〉    │                                              │ │
│        ⌒ハ込、      .イ/ {i:i/     │しかし、ご自分の楽しみというものはなにひとつ行わず           │ │
│        /. . .,介> _ <}..} . V      │                                              │ │
│        /. . / }..|^\___/^}..|ヽ∧      │――――ご自身のしあわせというものを、向いてはおりませんでした  │ │
│      / . . ( ⌒ ) <ニニ> ( ⌒ ). ∧      └─────────────────────────────┘ │
└─────────────────────────────────────────────────┘


294あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:12:12 ID:286498c0


┌───────────────────────────────────────────────┐
│   ┌─────────────────────────────┐                         │
│   │――――ですから、私たちは数年前に決めたのです           │ `: .、                       │
│   │                                              │ . . : :\   __                 │
│   │                                              │   . . . .\/<^\             │
│   │いずれ、どうにかしてヴィクターさまに、……ほぼ毎週           │ ' . :',: <⌒ヽ \           │
│   │                                              │ 7/ . . }: : :V/ ∧ニ=-              │
│   │ときには毎日公爵令嬢としての、お辛いお仕事があるヴィクターさまを │ /. . / . : V/. .}ニ=-             │
│   └─────────────────────────────┘ . : . .'   . . i . . ,ニ=-            │
│                     V', / /. : . . {/ : . 乂( '" ¨¨ ㍉{ ).: / ⌒ .:.: / . : / . / . : . : ハ. /ニ=-              │
│                 ∧∨ /{: . . : /: . ィ ´       `〈/    ⌒彡'/ /. . / . . '⌒}∧ニ=-             │
│                 /∧∨ ∧: . .// ′         :.  。   ' ノ/ . : : '. // . ./. . .Vニ=-           │
│                         、V: :ハ: . ' /:.    . ..、      丶..   ィ/ . . /⌒}/ . .ハ  . .vニ=-           │
│                    ∧V: :}  ┌────────────────────────────┐ │
│                     / ハ }: /  │然るべき時機に、悟られぬよう動き……人を、金を、物資を、集め │ │
│                      __/ ノ//  │                                            │ │
│                     ⌒ア__/__ │たとえ短い期間であって、私たちが処刑されようとも           │ │
│                   __/.:{/.: .: .: └────────────────────────────┘ │
│                 ⌒¨アニ=-- .: .: .:、: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .v八 : : :::....      /. . . ∧ . . 八ニ=-              │
│               __  -=ニニ.: .: .: .: .: .: :.Ⅵ.: .: .: .: .: .: .: .:.:.:.}. . \: . . . :::.... _ ノ. . . /. . }. ∧. .\ニ=-          │
│          , -=ニニ .: .: .: .: . :. :. :. :--- __ :人.: .: .: .: .: .: .:.:.:.:' ⌒\. 、: : . . . .V: : : . .' . . . . . . .、 . . .ニ=-        │
│       . : -=ニニ.: ____.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:ニ=->、.: .: .: .: .:.イニニ=- }. .',. : . ./. . . . . . . . . .' -=ニ). . }ニ=-         │
│.     /.: .: .: .: .: .:⌒ ¨¨¨¨ ㍉.: .: .: .: .: .: ___.: /⌒\¨¨¨´ 八-=ニニ/. ./ . . . ' . . ./. . . . / -=/. . /ニ=-        │
│.    /: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:``' .,.:.--=ニア-=ニニ=-\. . . . .\ / . /. . . ./ . . / . . /-=ニニ'. . . /ニ=-          │
│  //.: .: .: .: .: .: .:\.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:\ /-=ニニ/ニ=- ⌒\ . .У. . {. . . . { . . . . . . {-=ニ=-八. . {ニ=-          │
│ /.: .: ┌────────────────────────────────┐  . /\乂 __         │
│./.: .:. .│どうにかしてヴィクターさまに、公爵令嬢から離れた空間を過ごしていただき  │ . .{ニ=- ¨⌒            │
│.: .: .:{.: │                                                    │ 八ニ=-            │
│.:⌒人 │ヴィクターさま、ご自身のしあわせというものについて                 │ ニ=-              │
│.:.:/.: .{ │                                                    │ =-               │
│.:..:.:.:.:.'│考えられる環境を、人目のない、私たちだけとの場を提供しよう――――と  │  -                   │
│.:.:.:.:.:.:.└────────────────────────────────┘                 │
│⌒\.:.:.:.:..          . : :ニ=-  _                  -=ニニ=--   ⌒\乂⌒                    │
└───────────────────────────────────────────────┘


295あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:13:13 ID:286498c0


                        -‐…‐- 、   __
                   //´ ̄ ̄>:ヽ´:.:.:.:.:.:.:`ヽ
                    /:/    /:.:.:.jノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
                    -‐ - 、{:.{_,.  -‐'……‐ <´ ̄`ヽ:.:.:.: ',
                /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\:.:.:.:.\:.:.',
           /:.:.:.:.:_,,.. :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:.:.ヽ:',      ――――――――――その時機として
          /:.:. イ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ、:.:.:.',:l
          /:.:./, ':.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:⌒\:.:.:.:.:',ヾヽl:|     ヴィクターさまが大好きなお酒を
         /:.:.//:.:.:.:.:/:.:.:.:/:.:.:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:',:.:ヾヽ
         :.:.://:.:.:.:.:/:.:.:.:/:.:.:./:.:/:|:.:.:.:.:.:.|:.:.:l:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:',:.:.:.:!ヘ:.:ヾヽ
        l: / .:.:.:.:.:/:.:.:.:/:.:.:./:.:/:.:ハ:.:.:.:.:.:|:.: !ヽ:.:.:.ヽ:.:.:ヽ:.:.i:.:.こソ:.:.:.:} }   精神の治療のため、本来ならば希釈するものを
        j/ {:.:.:.:/:.:.:.:/:.:.:.:.l:.:ハ:.:.| l:.:.:.:.:.:|:.:.|、:.:\:.:.',:.:.:|:.:.:|こソl:.:.:.://
            |:.:./|:.:.:.:.|:.:.:.:_ハ」⊥~V:.:.: ハ: |_ヽ斗ヽ:|:.: !:.:.:|ソ| |:.:.//|    けれども、原液で飲んでも美味しいと感じるものを
            |:. ! |:.:.:.:.{:.:.:´」⊥」_リ .V:.:.:| ヘ! _」⊥ニ:|:.:.|:.:.:|:.: | レ゙./:.:|
            |:.:l !:.:.:.:ヘ:.:.:{{    ` ヘ :.|  '      }}:|:.:.:|ヽ:| / :.:.|
            |:.:! l:.:.:.:.:ハ:.:.ハ ゙ー==イヘ:l ゙==ー" . !:|:.:.:|ノ:| | .:.:.:.:.|   それを、数本ですが秘密裏に手に入れられた
          Vxく.l:.:.:.:ハ:ヽ:トヽ      `       /|:.:/:.:.:| | .:.:.:.:.:|
             ヘ :.:| ヘ:.八      l      /.: |/:.:.:.:.| | .:.:.:.:.:|
                ヘ:.| !:.:l \    ‐._-,    //.:.:./:.:.:.:.:.| | .:.:.:.:.:|   そのときに……実行することを、皆で決めたのです
              ヘ! |:.:!.__  ヽ       イ /:.:.:ハ:.:.:.:.:.| | .:.:.:.:.:|
                |:.|| .ト‐-| ` ー '´ .|-/:.:イ`i |:.:.:.:.:|_| .:.:.:.:.:|
                     |:.|| .|  ト---. ,----|/:.:イ.| │.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
      , - ‐ーーー‐- 、 ハ!ヘヘ ノ       ハ´//. | , - ‐ーーー‐- 、


296あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:14:14 ID:286498c0


┌───────────────────────────────────────────────┐
│   : : : ::;;;;;;iiii|r iニー==- ヾ冫''ィっr''=ヽノ`ーi|ン/テ '';,,ノノ_ノ_ソ;;ヽ';';'ノ';''ニ-'-'  ,,,-ー、   _,,--ュ                │
│   : : : ::::;;;;iiii|`}ナ」=、ノ /ー-;;、二''ー''ニヽ、ヽニ=ノノニ= 'ノ;イT ┌──────────────────────┐ │
│- - : : : :::::;;;;iiii|"メ  / r'     ,;`フ :i:i:iiiii| ;iヽー-==-、=== │――――――こんな大それたことをしでかすのです │ │
│  -:-:-::::;;;;;iiii|  / ,/   ,,,';', ノ.: : : ;;;iiiァl ーii}    `ー、_ │                                │ │
│   : : : :::;;;;;iiii|--'- ''--、,,____/ : : : //: : :{iiiノ       │実行はもちろん、中央からできるだけ離れた場所で │ │
│    : : : ::::;;;;iiiii|. . . .      : : :::ノ'': : ::ii/   ,,,-,,,,_    └──────────────────────┘ │
│   : : ::::::;;;;;iiiii!--- 、_;.;..;/  ''⌒ . : ;i/  r''". .:'''',,,⌒''ー-''",,; . . : ::::=-、_, : : : :;`ヽ ''''' /i;i;iソ;i;rー                │
│   : : ::::::;;;;;iiiii|     /   ハ : : ii;ノ    `''ー'`ーァィ;;;=、::;:;:::,:.,,.,.,:,;. :,,ヽ、ー>`、;;i;i;iii|: : :;i|`>' ̄二ノ             │
│   : : ::::::;;;;;iiiii|  __,,,/   、`ー;;ir'         '';;、_;;;;;;,,;`ー-=ニ---,ノ i|"" ノ ノ _,| ,,,;;;iレ'::.;r'⌒""            │
│   : : ::::::;;;;;iiiii|  }:.:/   : : :::;;;ii|          ,,::::"-'' ̄''ー=ニー=;;;;;;;;iiヽi<l;;ii|, |;;;;;;;;;;;/                  │
│   ┌──────────────────────┐   ̄ ̄ ヽ、;;;;;;;"~;|;;;;;;;;;i|    /               │
│   │たとえば、ヴィクターさまの遠征に付き添いを行い   │ .,_.,.-,._,.,.,_-.,._ \:.::<|;;: :;:;;iト、 , -'" ,;;             │
│   │                                │;; ;;:;;:;::;:;:;:;:;:;:;:;:;::;:;ヽ、|" ::;;;i|: : : : : :;;/               │
│   │転移魔法の範囲外……ひこうきの距離なら最良です │ : : ァ`ィン""" "ヽi''" |:. ::;;i|: : : : :;;i{                 │
│   └──────────────────────┘ ー--=ニヽ、,. ._,,ヽ、_,!:: ::;;i| :: : :;;;i|              │
│   : : : :::;;;;;;;iiiii| ''-|: : :   : :::;;;;;iii|ヾヾノk'ニニ='"〈;;;"         ヽ`ヽ`ー'r'ーー'' |;;;;;;;;;;i| : : ::;;;il                 │
│   : : : ::::;;;;;;iiiii| r'''!: : - - -::::;;;;;;ii|ニ}/::ir'c''"ヾ;;::::;;;;)           ''|: :i|;,,;;;;;`"| ::;;;;;i| : : ;;;;;;;l               │
│   : : : :::;;;;;;;iiiii| `'|: : :  "::::::;;;;iiii|=|: :;i|ン<:;;:;:;:::`''-,,,,,_,  ┌──────────────────────┐ │
│   : : : ::::;;;;;;;iiiii|   !: : .  : :::::;;;;;iiii|;::l: :;iト、;;;;`ー=ー;:;:;;;;;;{、  │そして数十人以上の、口裏を合わせられる       │ │
│   : : : ::::;;;;;;;iiiii|  .|: : :  : :::`:;;;;iiii|"|: ;;i|ン ハ;;ン'':;;;:;:ノ'''メ  │                                │ │
│   : : : ::::;;;;;;;iiiiii|  |: : :_ _ _: :::=;;;;iiii| l.:::;;i|イレ',ィ'"'''''', -'"''" │「血判状」により、裏切ることの決してない人員を揃え │ │
│   . : : : :::;;;;;;;;iiiiii| .| : : :  : : :::;;;;;iiiii| !;;;;;;i|,:::.:"`;^:.:.ン''ー-,,.. └──────────────────────┘ │
│_ _ _ ,, .-:-::;;;;;;;;iiiiii| .!: : : _ _: : :::;;;;;iiiii|;|;;;;;;;i| iヽト:::;:;:;:;;;;;;ノィ,,-''ァ      ,<;;;;|: -;i|{ {;;r=:!:.  .:;;;;i|  -'';;;;;;;               │
│   : : : : ::::;;;;;;;iiiiii| |: : : ......: :: ;;;;;;;iiiii|:!.. ;;;i|;|..メ`;;..:.:.;;;;;;r;;;;ヽ''_      r'';;;=|: :;;il>`/;;;|:.  :::;;;;i|  : :;;;;;;;              │
│  -:-: : :::::;;;;;;iiiiiii| !: : : : . : :::;;;;;;iiiii|.i::-;;;i|l'';:;;r''ァキナァ;;r;;;;'iir',   ';: :ェ-'';;!: :;;i|イ'il''"|:.  :::;;;;i| .. : ;;;;;             │
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│二 : : : : -:::::;;;;;;iiiiiii| |: : : :  : : : ::;;;;;iiiiii|:: .::;;i|: :;i! ;i!.i!,-'ァーィー、,,_ _       |: :;;;i|:| :i|;,,!:.  :::;;;;ii|  : : ;;;;              │
│  : : : : : :::::;;;;;;iiiiiii| |: : : :  : ┌─────────────────────────┐;;;;              │
│  : : :: ::: ::::;;;;;;;iiiiiii|:.!: : : : .  │……可能であるのなら、ヴィクターさまが「斃れた」としても   │ ;;;;                │
│  : :=:=:=:::;;;;;;;;;iiiiii|::|: : : : .  │                                      │:;;;;             │
│  : : -:-:::::;;;;;;;;;iiiiii| |_:_:_:___:  │決しておかしくない状況が望ましかった――――の、ですが  │ ;;               │
│,,;;;,,;,;,;,;,;,,;,:::;;;;;;;;;iiiiiii|.|: : :   :  └─────────────────────────┘;;;;;             │
│: : : : i: : _: : ;;;;;;;;;iiiiiii||: : :   : : :〈{ノiiノiiiiii|;;:;r;:t'::';i| ;) i|;;';;ヽi;i;i;i;i;i;;i;i;i;i;i;i;i;;ヽ ;:l'^;^;;ヽ:;:;;;;|: :,  ィッ';iiiiii〉r;;;;;;;;             │
│: : ::.:.::.::.:.:.:.:.:;;;;;;;;iiiiiii|!: : : ,;';';';'ヽr';';';'iiiiiii|'ィLy`ンi| ;;;;i|i''i个;,i;i;i;i;i;iiiiiri',;:;:;;; ヽ:!:;:;;:;;:;i;:i;:;''|..:.;;.;;i; ; ;;;iiii|`i.;;.;;;;;              │
└───────────────────────────────────────────────┘


297あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:15:15 ID:286498c0


┌────────────────────────────────────────────────┐
│                     .  -─…─- .    __                                       │
│                 //  ,       `< ┌─────────────────────────┐ │
│                  ' /   /ヘ        │――それが、見事に揃ってしまったのが、あの遠征でした  │ │
│                   / /   ,ィ゙゙"゙{  i 、\ V │                                      │ │
│                 ,〈  ′_ ,.斗- 八 `ト、\丶  │ヴィクターさまが重い病から立ち直られて間もないあの時機  │ │
│                 { V   / j{    \{^ニ=-__  └─────────────────────────┘ │
│             r</^V{  ィチう笊㍉  ヽ ´ ̄ } /  ハ{                                   │
│             レ' //从 { 乂rツ    イ示ぅ , ′/ /                                         │
│             /   }/乂iヽゝ , ,       Vリ // ,  '                                      │
│           ′ /L」 l圦       '   , , ノ厶ィ  /                                       │
│            /   '    /{ハ: .、  マ  ァ   イ. . ノィ^                                          │
│           ,    /   ,  i ∧} >.      イ. i. . . . {                                       │
│        /  , ___ ∠斗∧ ∧  >ァf〔. . }. .|. . . . {                                       │
│     ┌───────────────────────────┐                             │
│     │ヴィクターさまご自身が、北の……ひこうきでなければすぐには   │                             │
│     │                                          │                             │
│-=≦´ │転移魔法でも、座標を知らなければ直接には届けないあの地へ │                             │
│  /  └───────────────────────────┘                             │
│/   ,  /. .j{     ': : /     } V  V∧   `¨、   丶. . .',                               │
│   / /. . . j{     ∧: :{  . . / /. .  ⌒` . . . . .V    V. .}                                 │
│    { /. . . . . j{    /. . V 、: : : :{   /: : ./ . : : : : : : : : :} ',  ,. ./                                     │
│   八. . . . . .j{    /. . . . V  ┌─────────────────────────┐                │
│    ) . . . ,j{   V. . . . . . .、  │一刻も早く出向き、対処をしたのちに報告をする、と仰られ  │                │
│   /. . ./j{    ', . . . . .  └─────────────────────────┘                │
│  '   ,  / -‐=ミ }. . . . . . /:/ : : : :V        } \    ,.ィ 丶                                │
│ /   /  乂     V. . . . . .V : : : : : }         {  丶 '´   \                                 │
└────────────────────────────────────────────────┘


298あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:16:16 ID:286498c0


┌────────────────────────────────────────────────┐
│                                  /                                    │
│                                  //                                      │
│                                  / / ̄ ̄\                                     │
│                           ┌───────────────────────────┐   │
│                           │お願いしていたとおりに私を副隊長にしていただいたことで     │   │
│                       _ │                                          │   │
│                       ̄ ̄\ │ひこうきに同乗する兵の全員が、計画を知る者とすることが出来  │   │
│                          / ̄  └───────────────────────────┘   │
│                    /     /     /  |             \}                               │
│                    / /  /   /   |   |      |      \___                      │
│                       / //        | {  l |   l     |   |N    \\                         │
│                   |/ / /     __|_ハ__| {   l{    | _|_」∟| ト、 |  ヽ                           │
│                      | / |   /八{ ∨「ト、 l{ lレiハ__jノ VハN ヽ} ト |                      │
│                      | / │ l/ 汀 苧芒ミ \{ { _{ァ芹芒灼' } | | | | i |                       │
│                      l |  | /| l八 乂フ__}  \\{__乂フ ノ ∧l│|ノ l |                       │
│                          |  l 人| |          | \{       ハ }∧| ハ|                       │
│                         |  | /| ∧      〈{        / イ │|   |                       │
│                        |  |/ l/{∧               /l | ,ノイ                          │
│                       \ { / | 人     -‐_‐-    ノl |! |  ノ                         │
│.  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\___     /\   l|   > _          ィ  l 八{              ________      │
│/ ┌─────────────────────────┐   ̄)l /\___/ ̄/        / 〉___  │
│   │――婚姻が近づき、もう遠征などへは出向けないご身分に │   ̄ |/     / // ̄ ̄\ー‐ 、 / 〈       │
│   │                                      │  _ノ       _ | |__/⌒i_r―‐、___,ノ\│  /   │
│― │なられる、その寸前で、ようやくにその時機が来たのです   │ _|__________| | ̄ ̄|  | ∨⌒| __|  〉 ̄ ̄ ̄  │
│.  └─────────────────────────┘  ―――――| |    } ―| {  |  / /       │
│―‐┬‐廴|_|__ノ\______             |┘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ┌──────────┐ _  │
│    \    (______,ノ \   \______/  \_|_/  /|__ \   |    │「これは、きっと天佑だ」 │    │
│   ┌───────────────────────────┐   |   └──────────┘    │
│.   │「なぜなら、これは王国……人類圏内でするには無謀すぎること」 │ \l      \|    |    \         │
│   └───────────────────────────┘   \       |    \___   \        │
│. / ̄     /l\__/___,ノ     //     ┌──────────────────────────┐    │
│         /   \      / /      │「秘密回線で連絡を取り合い、必要ならば混乱を引き起こそう」│   │
│.         |   |    \___/// i        └──────────────────────────┘   │
│       |  |   | l    //                /_jハ                 ′V                      │
│        | / |   |│  //          ┌─────────────┐  V                    │
│        | / |   │|   //    \     │ 「「「「これを逃す手はない」」」」 │  V\                  │
│        l/ !    \ |/      {≧ー └─────────────┘   |   \                   │
└────────────────────────────────────────────────┘


299あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:17:17 ID:286498c0


 ┌──────────────────────────────── ── ─
 └────────────────────────── ── ─
 ┌──────────────────── ── ─
 └──────────── ── ─
 ┌──────── ── ─
 └── ── ─


               / ̄ ̄ ̄`ヽ,.、-:.―:.-:.、
              //      /:ヽ:.:.:____:.:.ヽ
          ____ {:{     /:.:.:.:.:.j/:.:.:.:.:.:.`ヽ:.'、
           /:.:.:.:.:.:.:>ゝ<:.:.´:.: ̄:.: ̄:>:.、:.:.:.:.:.:ヽ:.',
.         /:.:.;.:___:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:..ヽ',             ………………と、いうのが経緯です、お嬢さま
     /:.:/ ,.イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ、:.:.:.:ヘ
      ,':.://:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.⌒ヽ:.:.:.:.:.:ヾ:.:.:.:.',            事実、あのときには
     ,':/ /:.:.:./:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:ド;.:.:.:', っ
    ,'/ ,':.:.:.:/:.:.:/:.:.:.:/:.:/:.|:.:.:.:.:.:|:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',:.:.:.:kゞ\:!  っ
    リ ,':.:.:./:.:.:.:l:.:.:.:.i:.:.::i:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.:.|:.:.:i;.:.:.:.!:.:.:.:.:.:',:.,ムヘj\\       ……焚き火を見ながらひとり呑まれていた
.     ! !:.:.:/:.:.:.:.:!:.:.:.:i!:.:.:!i.:;ヘ :.:.:. |:.:.:.|!:.:.|!:.:.:.l:.:.:.l:.:.:.ソゝ:ソ:.:.:.:> >
   ¦ l:.:/|:.:.:.:. |:.:|:.:!:l:.:| !:| ∨:.:.l:.:.:.lヘ:.リ\:.!_!:.:.:|ノソ| |//        お嬢さまが、昏.睡し……仮死状態になったのちに
     !:.| |:.:.:.:. |:.:|:.廾十リ~` ∨:.:!';.:.|斗七ヽメ:.:.|:.:.:!:.:イl i/:.:.|
.     !:| |:.:.:.:. |:.:|::〈¨!迂心、 V.:l ヘ:jrfj夂迂ヾj!:.:.|ソ| !:.:.:.i:.:.|
       i:| |:.:.:.:.:.!ヘヘ::' マ;;;ソj,  ヽ!  ヽマ;;;ソり ノj:.:.:iノ_| !:.:.:.l:.:.|        生命反応が「消える」ために探索魔法から外れ
      リ ヽ;.:.:. !ヘ|:.ヘ`ー ´    `\ ` ー ´ 〉:i:.:// レ`ヽ:|.:.:!
.    /¦ ヽ:.:.!ヘ|:.:.:.!`::::::::::        ::::::::::/ハ://      >.、       ほんとうに…………………………そうですね
    くヘ;    ヽ:| |:.:.:.!jヽ ij   ′    ,イ/://      /::∧
    |ヽ;ヽ    ¦ ∨::!|:! \  ´`⌒  / /://        /::/  ',     「魔王」にでも襲われ、体ごと消された
    |  \\    ∨!ヘヽ   、.._ イ   /:/:′       /::/   }
    |   \\   ∨! :ヘ          ///       /::/   L
    ゝ     \\   リ :.ヘ,.../´ ̄¨`∨/:′     //     / 〉   そんな脚本を片手に、待っていたのです
    ) :..      \\¦ ヽ::/´ ̄ ̄ヽ/:'      //        〈
   /  :.:    i:::::\\   :ヘ      /:      //::!          ',
.  /   :.:.    ,'::::::::::::\\_  :ヘ   /:    //:::::::::',  ..:.:.:/  }
  ヽ     :.:..  {::::::::::::::::::::>>ヾゝ ノ:_,、、<<::::::::::::::::::j:.       ,'
.   \     :.:... ',::::> "´   二ヾソク´ ̄ ̄`ー-:、:::::::::::/        /
     >    く     /´  ∨ソヾ...\    `ー-/ \    〃ノ
    └=テ=、、\      /ム7\   \     〉`ー──ぐ<
     /      i    /  |::::| i \...  \  /        /


300あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:18:18 ID:286498c0


┌────────────────────────────────────────────────┐
│                 ___     __              ┌─────────────────────┐ │
│             . ´       ` <^⌒\           │…………私は同席した際に、贖罪として       │ │
│.             /       '         ` . 丶       │                                    │ │
│           '    /  ,ヘ,{      ヽ   \          │また同時に、どのくらい危ういものか……私自身も │ │
│.     r==‐ァ=ミ/   '  /"゙゙|    、   ',              │                                    │ │
│.      V/∧/.'    i  ′ |    \   .     .        │体験しようとして、それを呑んだために         │ │
│        〉{ //{:   | {  .ィ{  ヽ 、 \  }          │                                    │ │
│.       〈/| ⌒|i    |¨「 ̄ 八   |\ ̄「 ヽ}    }       │                                    │ │
│       `|   |l    乂{    丶 {  丶ト、 }    ,       │治癒魔法でも動けない状態に陥っておりましたが │ │
│.           从   { ===  \== V  ' / ゴキュゴキュ  │                                    │ │
│.         l   | r ト、  、.:/.:/      .:/.:/.:/  ハ/         │                                    │ │
│.         l  l ゝ| \ \         厶イ {  ゴキュゴキュ  │他の者は、ヴィクターさまが眠られるのを       │ │
│       ,   ,:  |  i:.、 ⌒ (^ーァ     ィ  i |         │                                    │ │
│.      /  /  {  {.....}>o。`¨_ . イ i  l |ゴッゴッゴッゴッ │今か今かと                            │ │
│      /  /   ∧ ∧ノ     {.....i......|  l  | |         │                                    │ │
│.     /  /  ,. 斗∧ ∧     {`>、__.{  |  | |         │準備を整えながら待っていたのです         │ │
│    /  /,ィi〔   ヽ∧ ∧  __,.ノ / ¨八 :. ∧        └─────────────────────┘ │
│.   ,   // ⌒\   ∧ ∧ ____,.ノ    ヽ }  ゚。                                              │
└────────────────────────────────────────────────┘


301あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:19:19 ID:286498c0


                               x≦三ニ=-           f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
           ⌒\  -‐   ¨     .  /三三三三ニ=-       | ……しかしまさか、肝心のお嬢さまが
.              . ´           ` .三三三三三ニ=─ァ     |
.           /           ヽ     ∨三ニ=-  ̄ ̄ ̄      | 見張りの者が一瞬だけ目を離した隙に
.         〃  /     ′             V ≧三ニ=-        |
         ′  ′    /  ′   }wz_    :.   ≧三ニ=─ァ     | 消えてしまい
        /イ   l _ - ナ ァ{   i ‐十‐ ミ、   :}   | ̄ ̄ ̄       |
          |l   |l´  / / |lu. l   x≠ミ ミ   :   |           |
          |l   |l   x≠ミ、|l   | " _)::ハ 刈  .'   :|           | 私たちの方が、お嬢さまを必死になって
          |l   |l 〃 _)::ハ八  |/ 乂::ソ }}Y/     |           |
          |l   |l 八 乂::ソ   ヽ|    , , }〉}    :|           | 探し……戸惑い、発狂する者まであって……
          |l   |l トゝ , ,     '     u. 〈{_.'     |           ヽ___________________乂_
.           八  |l 杁           ' }〉     |
.            ヽ从  |丶 u.    ゚     イ/ |      | ………………………………
                 丶|  ≧ュ . _   イ   |      |
                 _}     {__   |      |
.             _, -_=- rく      ソ `ミニ=─   _:|
.         . ´   ∨   `>x   /   /      ヽ
          /        ∨ /   } / \  /     ´   }
.        {    {:./  V     o},    丶 ′ :. }'    {
          }     ソ           {{           }    ハ


302あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:20:20 ID:286498c0


                                f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
                                |    ___   ___  _   _     |
   /\      __      _____           <  |    7 /ン )  // 〉 〉 . /∧ / /   ∩  |
  /   \  /__⌒> ⌒´     、  ` .    __,  |   / / ̄  〈〈 / /  //  V../ .   ∪  |
/      \ }/           }     \ /////   |    ̄     ̄ ̄   ̄   ̄ .   ○  |
            ィ   /   ' {      }ww、  __ v//   乂______________ノ
.       // '   /-ォ{     ' /─- ㍉  ̄ V ⌒\
        '  { { {  ' / 八  /}/  u.  ミ  ハ>、^ヽ ',
\   /{ /Ⅵ { /}/∩ ヽ(   ∩   ミ / }//> }八       /\
  \/  八(  |  V  ∪      ∪    }}⌒Y | ⌒^        /
. /\/   八 { ' '           ' ' 〃_,ノ |      ………………………………あ
. \         )圦        u.  〈{イ }. . . |          \
.   \         介: .    _   ィ }〉 '. . . | /\          \/     f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
.    \   / ,   /≧=┬=≦-v} / /. . . ..{    \                 | 本来ならば、王国……いえ、私たちが
        \/  /   ,  ノ{/^ヽ  /.:} />、. . . .      .>               |
          ,   ,ィ.:{/.:〉//{_}//〈.:.ノィ.:.:/ ハ. . .',   /                | 裏切るはずだった相手と一緒になり
        /\.  / }:/.:〈/。o介o。/〉.:.{.:.:レ'  V. . . /                 |
       /   / / V.:.:.:.:.V/V//V.:.:.:.V/   v. . .                      |
      < /\ ' /  '.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.Ⅵ    ヽ. .                   | 私たちもまた、うろたえていたのです
.     ./\.  { 〈__  {.:.:.:.:.:.:.:.:.\.:.:.:.:.:.:.:.:.L__ 斗r┘.}                ヽ________________乂_
    <.   \ } /  ̄}.:.:.:.:.:.:.:.:丶:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.}   }. . j
.    \    ./            \/
.     \/


303あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:21:21 ID:286498c0


          ,  ´   /ヽ__    ` .、
        /  ,r≦/  ヽ三三≧x.   ヽ              f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
.        '  ,∠>´{      ` <ヽ  ', ヽ           | ……お嬢さまが、突然に南に現れたという情報と共に
.      /   / ´./ ムi   ',        `i  ', ',          |
     /   /  | .!^^! |  .', |  ヽ.  !   i ',          | ドラゴンなどという神話の生物を、大精霊さま
.    / /  |  ハ |  | i!   i! ト,   ',   !   !  !         |
    ' /  .! 斗rf=.ト|∨  |fTヽ=ト、 |  !  |         |
    | .'  ! .',.  | {'  .N ∨ |,リ  \ト,! i!  .!  .!        | ……サーバルさまと、お倒しになったと聞いて
    | ,! .|   _r─‐'ュ._.   ヽ! z≠ミx.}! リ  .l  |         |
    |ハ |.  ヲ, ''二.ヽ.|┐ i  ::::::::::: //  l  .!         | 町で元気に目覚められたと伝えられ、計画は中断しました
    {  } i!.....{l|{ (○) }| |.        /イ   !  .|  ♥      |
       {(゙,_ミヽ 二ノ | |.マ__ア   ,イ!   l   .!        |
  ●REC   〉'´,r゙|r ‐‐┐| |     , ィ´.:.:l   !  ∧        | 私たちは、計画だけはいつでも行えるようにしつつ
.        / /, ┴‐‐ュ'゙┘!、 ー,´-'^i.:.:.:l   ト、  .∧        |
.       | '´ ,.ィエ._| ̄l|.__.Y _. ィ^ヽ:|   |.:.:〉  ∧        | お嬢さまを、注意深く見守る方向へ切り替えたのです
.     /_.!   '" _,-r:イ r:、l  |     .!   ト、}_   ∧      ヽ________________________乂_
.  ,x≦....,'゙、  r| ゙、'; ゙、ヽ、`ヽ、 . ≧:ァ|    l ム三≧x
 ,∠三 /゙、 ヽ、 { { ヾ、 `'┘  ゙i、. ー' |    ∨三三三ム
∠三.'"/,-|\ `゙ヾヽ、      ノ^{.  |    ∨三三三ニム


304あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:22:22 ID:286498c0


               . -=ミ., -───‐- .               f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
           / /              丶          | ――それからのお嬢さまは、吐かれることも減り
             '  ,   ,ヘ       丶  、 \        |
                / / /   /゙"}       v   :._ ゚。       | 落ち着いた……かと思いきや、今までになかった
              / / ′ ,ィ  }  i 、   }  }/〉=ァ      |
          /イ    斗--八  ト、-\- :}  }〈^Y{       | 行動をされるようになったので
            |  i  { j{    \{ \ 丶}  }/〉 }        |
            |  {  {  ┃     ┃丶}   , ^ }        |
              Ⅳ八  {  ┃     ┃ '   /,   }        | 機会をうかがって、何度か、その望みを聞こうと……
               } \{ , ,       , ,/  イY          ヽ______________________乂_
               }. i圦        ___  厶ィ i_ノ   {
               }. |. 个: .   (   ) ,イ} }V    、
                ,. . | . {/i:i:i>---- <` ァ :i:i:V 丶  \        ┌──────────────────┐
            /. ./| . {ィi〔{ ‐-   -‐  } } ¨ >、 \ 丶      │……あー、そういやシグナムさん、何度か  │
           /./.,.{ . { 丶 `  ____ . ィj j ′ V  丶 \    │                              │
           /. , . r< V∧   ------  ノ , /    ヽ  }   ゚。   │意味深な聞き方してきてたっけなぁ……   │
          '. . ./. . ト、__ V ∧-=======-/ /ァ       } /    }  └──────────────────┘
         /. . . {. . . V_____V }ニニ=-=ニニ{ {ニ>、__ -‐ { {    ノ


305あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:23:23 ID:286498c0


┌─────────────────────────────────────────────────┐
│           ___      _______                                                  │
│.          /^⌒> ´            ` .                                                 │
│       /   /              \   丶      ┌───────────────────────┐  │
│       /    '       {         ヽ   \    │いや、けど、そういうものだったんだったら           │  │
│         /     ′/ ハ       \  V    ゚。   │                                  │  │
│.        /  '   / / /"{   、丶     丶',    ___, │                                  │  │
│       ,ィ′/   '__ / /  {  {\ \     }    }//  │僕がほんとうに……                       │  │
│.      〈/{ ィ    i /{`メ、 八  {   ヽ斗 <´  }    }<  │                                  │  │
│       }∧i    { / ┯....┯ 丶{   ┯....┯\ }   ///  │あの時点で望んでたことだったんだからさぁ、逃亡を!  │  │
│.        V/{   V  |::::::::|  ___ |::::::::|  /   / ̄} │                                  │  │
│       }^从  ∧ 乂_ノ三三三三乂_ノ   '   '  | │                                  │  │
│       |  i 丶   、-=ニ三三三三三ニ=-__/ ィ     | │意味深じゃなくて! 分かりやすく!              │  │
│       |  l i \{⌒  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄  ̄ ⌒7 |  i   |  │                                  │  │
│       |  | |  i{                } |  l   | │直接的に聞いてくれないと分かるわけないじゃん!!  │  │
│       |  | |  込、   /⌒ー‐'⌒ヽ  ,.イ |  |   | │                                  │  │
│       |  | |  i: :个s。  ̄ ̄ ̄ ̄ イ: :}  |  |   | │                                  │  │
│       |  | i:.  l: : | : : : }> ‐ <{: : : i: : |  |  |   | │屋敷の中でなら他人に聞かれることもないんだし     │  │
│       |  i ∨:. { : 」,.斗 '       ト .,rL_ |  |  |   | │                                  │  │
│.         ,  l ,ィV V>、 \-- 、  , -/ /|  ト 、{   | │今言ったみたいなこと、言ってくれていたら         │  │
│           l/   v }  \ `ー‐‐一  /  |  |   V  { │                                  │  │
│.      / __/   } l      ‐─‐‐       l  |   V ∧ │あのときの僕にだって分かってたはずなのに!!!   │  │
│.       / _}    _} |____       ____ ,:  |   ⌒L ' └───────────────────────┘  │
│      /_/    /ニ} |ニニニニ=--=ニニニニア  ∧     \                                       │
│    / V    /ニニ} |ニニ「 ̄ >{}<  ̄ }ニニ{  {ニ∧     / ヽ                                       │
│.   ノ /}─ - 'ニニ} lニニL/ 介 \_/ニニ乂 ヽニ゚。 -= 〈   \                                  │
│. (  {  {___ {ニニノ ,ニニニニ/ ∧_>ニニニニニ)  }ニ}    _〉   )                                │
└─────────────────────────────────────────────────┘


306あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:24:24 ID:286498c0


                   ____            ┌──────────────────────┐
           -─‐‐……,<^⌒ ¨¨¨\        │………………なーんてのは、僕のことを想って    │
       . ´              ` .  ヽ      │                                │
    /        /    /     \       │そこまで用意してくれてたシグナムさんたちには    │
   '            '      /          ヽ      │                                │
  /        /      '       i           │言えないよなぁ                       │
  .′____    __,/   ′  i      }   Vハ    │                                │
   〈///⌒V//i      |__  /  '    v ∧    │                                │
  {  }/     }/|  {   | `メ、/}  ′  i⌒ }   │だって、いろいろと覚悟した上でのものだったんだし │
.   /{      〈 |l  /{   | /}/ } / i   }  ノ   └──────────────────────┘
  ⌒}     //〉,从/ {   レ' ノ′ノィ   }  ,
  } j    /⌒ rⅥ 八   |     { /  ' /
  } '   .'   {  {   丶 {      V /} '      ………………………………まずは、ありがとね?
  / /  /    乂_{    i⌒ヽ    V }/
. / /  /      ...v    |        }        シグナムさん
/ /  /    ′ .....∧   ∧     ,. ィ
 ′ ,   /   ...../: : ',  ', ̄
/  /   /   ...厶斗 ‐‐ミ }                僕のこと、そこまで想って……いろんな人と
  /    ′  .../    ´  \
  ,    /   .../  /        ヽ            そこまで用意してくれていたなんて
. /    ′  ../  '         ',


307あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:25:25 ID:286498c0


          ' ィ     ,                   \
            ///   /   /wV         ヽ  /  ヽ   ',         ……それを聞いて、僕は、とっても嬉しいよ?
        /  /   /    /'゙"{     i    ∨ /   ∨ /
          /    '   /  {     {  丶  V    V
          /ィ      ┼‐- {     ト.     \}     }   i       僕が吐いていたのも、それをお母さんたちに
             |    i    八  {  丶 ┼\‐-   }     }   }
             |    {  /笊ミ、八  「\乂 丶  }     }    '         秘密にしておいてくれたのも
             |   八 Ⅳ  {/(_  \{ ^¨笊示ミ、Ⅵ      ,  _/
          И    八{   vツ   ヽ {:::/(_, }/      /__ィi:i:i:i:iト .,
              八  /i. .乂'_'  ,       乂_ツ メ     /〈i:i:i:i:i:介i:i:i:i:〉    ……あのお酒を用意してくれていたのも
            ⌒)〈i:i|. . 「⌒         , ,_ノ    ィ   L/i∧i:\}
               Ⅵ. .圦   、       ⌒^7¨¨´ /. . ' 〈i:i:i/ }i:i:i/
                | . . .{\    ´      ィ. . . . / . . {. . .'⌒  }i:∧    それがぜんぶあったからこそ、僕は
                | . . .|    、 __  ィi〔 / . . ./. . . .|. . .     ^. . ',
                |. . 八     }. /}   / . . . イ . . . . |. . .   '/, . .     今の僕になれたんだから
                |. /⌒     }/. }  ' . . / 乂. . __j__. .    /, . .   、
                }/     rく⌒¨7 /. ./ /⌒ア__ : :}.     /, . .   \
              /     乂 / ' /_ ∠ _   人  Ⅵ_.     /, . .   ',   f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
                 /{    rく⌒ア  _〃⌒7⌒¨(__ノ⌒  Ⅵ:〉',   /, . .       | ……っ、お嬢さま…………っ!
             /. {   _乂/ // `ー{_ノ}         }V. ∧    /, . .      ヽ______________乂_
            ,. .八  {⌒{__/⌒{ ⌒(__.ィ/         '. .V. ∧    /, . .
             {/⌒  _/  ¨¨ア⌒八   {,        /. . . .V. ∧   /, . .   i
           /    〈i:i介:、 /  ⌒\ /         /. . . . . .V. .}    /, . .  }


308あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:26:26 ID:286498c0


                                               f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
                                               | だから……ほら、泣かないで?
                                               |
                                               |
            {:.{/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\                     | 僕は、嬉しいんだからさ
         _ 人:ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:ヽ_                     ヽ______________乂_
         /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\{:.:i
      /:.:.//:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:{:.:\:.:.\:.:.:.',:.:\
.     /:/:.:/:.:/:.:.:.:/:.:.|:.:ハ:.:.:.',\:._ヽ:.-\:.:',:.⌒ヽ            ………………………………はいっ
.      /' i:.:.:,:.:.:i:.:.i:.:-‐十'  :.:.:.:.,,斗劣ミ、:.:.:.Ⅵ:、
.        |:.: i: /|:. |: 斗劣ミ  、:.:.  vし } ''}:.ヽ} Y.:.
      八:.:|:':.:|:八:{^ V少   \ `¨´}{ /:.:.:.:.r'.:.:.:.           お嬢さまが、ほんとうのしあわせというものを
         ヽ :从{:.:.ヽ  {{ ///、 ///}} イ:.:./:.:.:.:.:.:.
           ',:.圦  、   ,-、   }} 八':.:.:.:.:.:.:.:.:.          ご自身で見つけられ
            ',:.:个 ゚   - '  〃イ:/:.:.:.:.::.::.:.:.:.:..
            ヽ:|  }>  __  ´ ノ'ヘ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
               /:./ヽ}    /   }、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.       最後の戦いの後に、それを成されること
                 /:.イO ヽ__  _i八 O |...',≧-  __:.:.:.
           _  ―r....} 人 (   //::へ ,ノ.....',≧=- __ハ.:.:.
         /.{__ -=彡イ}∧::::. \/ノ::/ }ヽ\../...............}...i:.:.:.    それを見たならば、私は……私たちは
         i............./............  、:.r=く::/ 彡...............}_.........人..、:.:.:.
        ノ/廴..i............   {::⌒}   /............../ヽ..}¨{.....\}:.:.:.    人生の目的の、大半を遂げたと言っても
       r'../..//....|........./   }:⌒}   /............. /.......ヽハ.........}:.:.:.
    /:/y.. //..... |.......,    /:::::::|  ................ '..............',.. ',.......|}:.:.:  いいでしょう、…………………………っ
.  /:/ '....../'............、....i   ,.:::::::::;  '.........../................... ...、.....||:.:.:.
  /:/  /../...{................八   i:::::::::' /......../.........................ii.....\.{:.:.:/
. /   /...........八 ....................   |::::::::| '..../..............................八..........∨:./
     /..............___\_..............、 |::::::::|//............................../................. ∨:./


309あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:27:27 ID:286498c0


              ____        ----
            /⌒> ¨¨¨^             ` .
            /  /     ,              \
           /      /  /wwi{          ',   ',
           ' /    /  ィ    {   丶    i                ……その気持ちは嬉しいけど、生きる目的は
           i ィ      /  / |    {  、  \  、}   : i
           |' i    / ′ /__j_ ィ八  i\ 、_\__}   : }\       きちんと……少し経ってからでもいいから
           |  ィ  i  /ィ 八    \{   \   ヽ}   i }i:i:i:〉
           | /i:{  |   { ィぅて笊㍉ ヽ ィ爪_笊ア   } }i:i/       見つけてね?
           | /i:i:|  {   八 乂rツ      乂rツ/    ' /|∧
           |'〈i:i:Ⅳ八   { \_, ,     ,    , ,ノィ /}/i:i| ∧
             Vi:i/个\ 乂⌒           '/i . . ⌒V. .∧      じゃないと、僕の方が困っちゃうんだから
                  V. . }. . . }⌒込、   r__,     .ィi   }___   V . ∧
              , . .rく⌒八. . .{ >   _   < }.| . / ∧  V. . ∧
                /. . .{// ∧ ∧ __.:     :.. _/ |. , /- 、〉 /∧. ./ハ   f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
            {. . ./  { / ∧ ∧ `ヽ  / / j / ⌒)  V  V. /.}   | ……はっ! お嬢さまのご命令とあらば
              ,レ' {   乂 / ハ  }',       / //  (   }    V /   |
             /   i  ⌒\ } i \   / //  _,乂  i   } .v    | 全員すぐにでも
          /    :     ' 〕iト |   \__/  { { __ハ     l', ,  ',   ヽ_________________乂_
        ,       ハ  /   j 「^ ⌒<ニニ>'^| |    ',  , V
          /   . . ./.∧ {   /. /   /∧\ Ⅵ       , . /     i
       ′ . . ./. ./. .ハ八. . .{ {  <i:i:i/ Vi:i:>Ⅵ  . .:} /. /    }   命令じゃなくって、お願い、ね?
      /  . . / /. . . /. .} 丶八∧: : : :ィ. . . . 、 . }': : : :イ /. /    /
       /  . .'  /. . . . . . .i   〕iト- < ⌒ ¨¨ >- <  '. ./    '
     '   ./  , . . . . . . . .|    { ̄二ニニTニニニ7    i. '     /
     {  .′ { . . . . . . . .|     vニニニニ}ニニニ{    { {     {


310あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:28:28 ID:286498c0


┌──────────────────────────────────────────────┐
│                        -----                                          │
│                       ´         `  _  -- __                                    │
│                 ___ / /   ,ィ      、   -<⌒\                                   │
│                「i:i:i:V . '    /''{  、    ',     \     ┌────────────┐         │
│              _/⌒7i:V     /  {  \ \}   i  }  ',    │……ここまで想われていて  │         │
│            //  |i:V{  ーォ┼ 八  、 __、_ }   }    }    │                  │         │
│              〈i;   {i:{八  Ⅳ八   \{ \ \}      '    │正直こそばゆいほどだけど │         │
│           }  . . ' 「个.>、{`ー==   ィぅ示ァ,  , /./}/     └────────────┘         │
│            ,  . ./. 乂| . {⌒, ,    , 乂ツ/ /}/}/ _>、                                   │
│                 /. . . . |. 圦    _   , , ノィ. 乂__>、/⌒^\                                  │
│             ,. . . . . .|. |. }:..、   `   ィ. ./乂. . / \    、                               │
│         /. . /. . . . . . |. |. }  > __  < {. .i { ⌒   }:.、    \                          │
│          '. . /. . . . . .__j. Ⅳ     {_j_i_ _j. .| ┴へ__  _j_ ハ     ┌───────────────┐ │
│           '/  ̄^乂}. |'__     ' __  }|. |  ^ー{       ゙      │でも、きちんと受け止めなきゃ     │ │
│           /      ⌒}. |_ ⌒¨`  ´  ,ノ |. |  __j             - '│                        │ │
│           /{         |. |^>-----<   {.ハ __ > ‐‐ ァ 7 ¨      │なにせ、あの時点でさえ数千人が   │ │
│        /. . ./.ハ__j: . ./  ハ∧ ___、 ,. __ 八∧∧   /. . '        │                        │ │
│          , ./. ..f<ニ〕iト/...V∧ニニ=--=ニニニニ',V.', ' . /       │身の安全を捨ててまで、僕のことを │ │
│    /. ./. . . . ,   ⌒7/ニV∧ニニ=--=ニニニニV',.V . . {        │                        │ │
│   /. ./. . . . . /     /ニニ{ニ}. .}ニニニ=}-=ニニニニ}∧∧ . 八         │                        │ │
│ /. ./. .    /     ∧ニ圦j. ./ニニ=-イ 、-=ニニ'. . .V∧. . . \      │……………………………………  │ │
│ . ./{. .     /     '. ..Vニ/ />-=≦ニ≧=-イ. . . . .V∧. .  \    │                        │ │
│.'  八. .   '    / . . . ∨{. .{ニニニニニニニニ}. . . . . . V∧. .    .   │……………………………………  │ │
│   ⌒\. . /     ' . . . . . .}圦.乂ニニニニニニ〈. . . . . . . }. . }. .     }  └───────────────┘ │
└──────────────────────────────────────────────┘


311あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:29:29 ID:286498c0


                        -----
                       ´         `  _  -- __
                 ___ / /   ,ィ      、   -<⌒\
                「i:i:i:V . '    /''{  、    ',     \          ………………………………ね、ねぇ?
              _/⌒7i:V     /  {  \ \}   i  }  ',
              //  |i:V{  ーォ┼ 八  、 __、_ }   }    }
              〈i;   {i:{八  Ⅳ八 u. \{ \ \}      '        僕が、悪役令嬢として活躍する……した!
                 }  . . ' 「个.>、{`ー==   ィぅ示ァ,  , /./}/
               ,  . ./. 乂| . {⌒, ,    , 乂ツ/ /}/}/ _>、        その前で数千人だよね?
                 /. . . . |. 圦    _   , , ノィ. 乂__>、/⌒^\
                 ,. . . . . .|. |. }:..、   `   ィ. ./乂. . / \    、
            /. . /. . . . . . |. |. }  > __  < {. .i { ⌒   }:.、    \
            '. . /. . . . . .__j. Ⅳ     {_j_i_ _j. .| ┴へ__  _j_ ハ
             '/  ̄^乂}. |'__     ' __  }|. |  ^ー{       ゙       }        絶対的狂信者
              /      ⌒}. |_ ⌒¨`  ´  ,ノ |. |  __j             - '   なら、今はそ の 人 た ち、どのくらいに
           /{         |. |^>-----<   {.ハ __ > ‐‐ ァ 7 ¨
        /. . ./.ハ__j: . ./  ハ∧ ___、 ,. __ 八∧∧   /. . '        ……へ、減ったのかな………………?
          , ./. ..f<ニ〕iト/...V∧ニニ=--=ニニニニ',V.', ' . /
      /. ./. . . . ,   ⌒7/ニV∧ニニ=--=ニニニニV',.V . . {
    /. ./. . . . . /     /ニニ{ニ}. .}ニニニ=}-=ニニニニ}∧∧ . 八         ┌────────────────┐
  /. ./. .    /     ∧ニ圦j. ./ニニ=-イ 、-=ニニ'. . .V∧. . . \       │まさか………………………………ね  │
 /. ./{. .     /     '. ..Vニ/ />-=≦ニ≧=-イ. . . . .V∧. .  \      └────────────────┘
 . . .'  八. .   '    / . . . ∨{. .{ニニニニニニニニ}. . . . . . V∧. .    .
  . .{  ⌒\. . /     ' . . . . . .}圦.乂ニニニニニニ〈. . . . . . . }. . }. .     }


312あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:30:30 ID:286498c0


             ノ!
            , ゝi'´ ̄ ̄` ヽ'"´` 、
             / ,  , -    _  ヽ   l て
         / /,'l {   `ヽ 、 ヽ  }  l て      ………………………………はっ!
         / イ{ ト、|゙、 .| {.,i、) .}l .} ミ》   l
         レ!小lヽ  ヽトi`ノ :| i彡!!゙;  l        い、今の人員………………ですか?
          ヽ|l ◯    ◯ .|ノイノ"l  l
            |ヘ⊃ 、_,、_,⊂⊃ l  l  l
           | イ`/⌒l_, イ | l  l  l         f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
           N`/  /l l. レ レ'   l ノ         | うん  ……その様子だと、分かるんだよね?
                                  ヽ____________________乂_

                                  ┌────────────────────────┐
                                  │ちがいますようにちがいますようにちがいますように…… │
                                  └────────────────────────┘


313普通のやる夫さん2020/10/15(Thu) 21:30:54 ID:cf02a7d9
イメチェンした位でファンやめるニワカいるかな

314あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:31:31 ID:286498c0


                               ┌──────────────────────────┐
                               │減っていますように減っていますように減っていますように…… │
                               └──────────────────────────┘


                                   ………………………………え、ええと、ですね?

                                その


              ノ!                     …………お嬢さまが、ご機嫌で撮影されて扉絵になされた
             , ゝi'´ ̄ ̄` ヽ'"´` 、
           / ,  , -    _  ヽ   l       「ヴィクトーリア・チャンネル」の、大人気のお姿と……まさにそっくりな
          / /,'l {   `ヽ 、 ヽ  }  l
          / イ{ ト、|゙、 .| {.,i、) .}l .} ミ》   l       「悪役令嬢」としての……全世界への放映で
          レ!小lノu. ヽトi`ヽ | .i彡!!゙;  l
           ヽ|l ●    ● .|ノイノ"l  l
             |ヘ⊃ 、_,、_,⊂⊃ l  l  l       ………………………………「ふだんとのギャップで燃え上がるよう」
            | イ`/⌒l_, イ | l  l  l
            N`/  /l l. レ レ'   l ノ        「模範的な令嬢のヴィクターさまから蹴散らされるのを想像して

                                   ゾクゾクする」などの声が大半でした、あの絵とそっくり、でしたので……


                               ┌────────────────────────┐
                               │減っていますように減っていますように減っていますように │
                               │                                    │
                               │もはや狂信者的な人たちがどうか減っていますように……│
                               └────────────────────────┘


315あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:32:32 ID:286498c0


             -――-
          /   _,.....-―-、` .、
         /  / /_>./ヽ ̄ ヾ \                f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
        . '  .' .i'  M i ヽ ',  ヽ ',                  | それに加え、すでにお嬢さまに心酔している
        |   {  .| i!「^N  ',_|_i i i! | |               |
        |  ハ  ! .ri ⌒\ }_」_| リ ト.}                | 南の方々と、人類圏の端の……避難されてきた方々
        | / ハ .ハ.{ィ=ゝ `⌒}イ l リ ……っ♥……っ♥♥   |
        |/ /_.」  ハ`    __'  ハ|リ                  |
       /r.:.´.:.:.ハ  ト  ` ,.イ  |'   ●REC          | そして、……魔王の元であっても
       / ハ.:.:.:.:.__」 ├ 、「ニ´ ,!  l                   |
      /x≦<  .'   L__Vノ‐-|  |                   | お嬢さまが主導権を握っているような
      〃三三ニ∨  ! r‐‐o-iハ. ト、                  |
     /三三三=/   / `T「`i「 Vハム                  | 言いまわしでしたために
    ./三三三三!  ∧ 〈/, 介ト、.|Vハム              |
    <=====ミ.|  {ニヽ∠三|||三ムハ=>                  |
   / `マ三三三ニ|  | 三三三|||三三}.}リ                 | お嬢さまの元でなら、魔物に怯えずに過ごせる
  ./   `マ三三三Nヾ三三三.|||三三リ{                |             ・  ・  ・  ・
  /     `{三三三|三三三__川三ヲ'ニ|                  | そう思っている、一般会員をも含めますと――――
 .'      |三三ニ.|===.": : :ヾ=''三=!                ヽ_______________________乂_
 i        |三三ニ⊥: : : : : : : : : {三三.!
 |       |三三´≧x‐‐f ̄i―i‐ヘ三三!
                                 ┌─────────────────────────────┐
                                 │減っていてお願いホントお願い減っていてくれないと痛まないはずの  │
                                 │                                              │
                                 │僕の胃が痛んじゃうからていうかカリムなに嬉しそうにしてるのやめて  │
                                 └─────────────────────────────┘


316あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:33:33 ID:286498c0


       ___      _______
     /⌒> ´            ` .
    / /            \     \
     '   /               丶       __
     /   /     /W        Ⅵ   ヽ /i:i:i:〉 ___,
    '  /  ' i   /''゙゙{           Ⅵ   Vi:i:i:/^Yi:/
    i  /   i {   /  {   丶  \  Ⅵ    Vi〈   |〈
    | ィ   { { /⌒  {   、 \⌒\ Ⅵ    vi:∧ |i:i〉    f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
    |' |   { {./     八  i\ \  ヽ}      li:i:i:〉|i/     | ――――――――――――数日前の時点で、その
     |   八 {' Y⌒Y   \{   Y⌒Y  }     }i⌒ |^     |
     |     Ⅳ {  }     \ {  }  ,     , |   |      | ……………………5000万を超えたそうです、はい……
     |八   {  、_ノ       、_ノ /   , /Y|   |      ヽ_______________________乂_
     ⌒\  乂.:.:.:.         .:.:.:.:/   /}/ ノ |   |
         }\{⌒            ノ   ィ i¨´. . |   |
         | 込、           ⌒7i¨´  l. . . . |   |
        i|  介: .    (   )   イ |    }. . . ∧ /,             ┌────────────────────┐
       j|   }. . . .≧=-  -=≦ {Ⅵ    '. . /. ∧ /,          │おね、……が、い………………………………  │
       ' |   . . . . 「⌒ハ   ___)ニニ|  / . . . /. ∧ /,           └────────────────────┘
      / |  '. . ィi〔Vニニ} /ニニ/ニ/|  /〕iト., . ./. .∧ /,
         | ィi〔ニニニVニニ{/ニニ/ニ/ニ| , ニニニ〕iト . ∧ /,
     /   |/{ニニニニ<⌒介⌒>ニニニ| /ニニニ/ニV. ∧ /,
    '   /. |ニニニニニ〈_/}_〉ニニニニj'.iニニニ, ニニニV . }   }
   /    /. . iニニニニニニニニニニ/. .|ニニ/ニニニニ}. .,  /


317あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:34:34 ID:286498c0


             ___      _______
           /⌒> ´            ` .
         / /            \     \            ………………………………そ、そう?
            '   /               丶       __
            /   /     /W        Ⅵ   ヽ /i:i:i:〉 ___,       悪役令嬢の演技、そんなに良かった?
          '  /  ' i   /''゙゙{           Ⅵ   Vi:i:i:/^Yi:/
           i  /   i {   / u.{   丶  \  Ⅵ    Vi〈   |〈
            | ィ   { { /⌒  {   、 \⌒\ Ⅵ    vi:∧ |i:i〉       f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
            |' |   { {./     八  i\ \  ヽ}      li:i:i:〉|i/       | はい……大衆、いえ、万人に、大反響です
            |   八 {' Y⌒Y   \{   Y⌒Y  } u.   }i⌒ |^       |
            |     Ⅳ {  }     \ {  }  ,     , |   |        | なんでも、あの映像を繰り返し見たり
            |八   {  、_ノ       、_ノ /   , /Y|   |        |
             ⌒\  乂.:.:.:.         .:.:.:.:/   /}/ ノ |   |        |
             }\{⌒            ノ   ィ i¨´. . |   |        | 広場で流したりしては楽しむ姿が
             | 込、 u.         ⌒7i¨´  l. . . . |   |        |
                i|  介: .    (   )   イ |    }. . . ∧ /,        | 町中では………………………………
                 j|   }. . . .≧=-  -=≦ {Ⅵ    '. . /. ∧ /,      ヽ__________________乂_
               ' |   . . . . 「⌒ハ   ___)ニニ|  / . . . /. ∧ /,
              / |  '. . ィi〔Vニニ} /ニニ/ニ/|  /〕iト., . ./. .∧ /,
.                | ィi〔ニニニVニニ{/ニニ/ニ/ニ| , ニニニ〕iト . ∧ /,     ┌──────────────────┐
            /   |/{ニニニニ<⌒介⌒>ニニニ| /ニニニ/ニV. ∧ /,   │全人口の25%から50%が……えぇ……  │
          '   /. |ニニニニニ〈_/}_〉ニニニニj'.iニニニ, ニニニV . }   }   └──────────────────┘
          /    /. . iニニニニニニニニニニ/. .|ニニ/ニニニニ}. .,  /


318あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:35:35 ID:286498c0


┌────────────────────────────────────────────────┐
│                                             ┌────────────────┐  │
│                                             │…………………………忘れてた    │  │
│○o| + | ・  | +               ○o| + *  | *        │                          │  │
│ * | o゚ *o  /   , ,...<.:.|`ヽ、_.:.:.`ヽ   \  |  +         │この世界、娯楽が少ないんだった   │  │
│+ * ・o○  /    l'´.:.>‐ |   `   ̄`ヾ    ヽ o *            │                          │  │
│ ・+  *  /  .′  |:/    !   ヽ. ヽ   ヽ   ヽ            │                          │  │
│.。o.| +   '  i   |   .厶|    ヽ ヽ i  ', ヽ ',  ゚+        │そして、強い人がモテるっていうのも    > │
│*.| +  '   |   l   i!|  l  |   ヽ ! | ヽ !  ヽ ',| +        │                          │  │
│ o○ 。*゚|    !   !  |l.!   !__ト.   |__ト」_|_ ! !   | l o゚        │                          │  │
│○o| + |   |   l .i |」L≠セ「ヽ  Ⅳ ,}ハ. | |  || ! |   ・o       │……感情、伝えないでって言ったの  │  │
│** | o゚  |   .!   ! 「| {   .N  ヽ |ィ=ゝリ/  ||ハ |    * ・     │                          │  │
│+ * ・o |    l   ト、| ! ,ィ≠'气   ヽ|´   /イ  ,リ}ル'  .| +  ・    │そっちの方じゃなかったっけ?      │  │
│o.・+   |     ハ   ハヽ{ `´      、   }   /'/  | *+       └────────────────┘  │
│.。o.| +  |   / ハ   ハ `       , ィフ´}_ /  /  | * |  *゚                                    │
│*.| + |.  / ,ィ.:!   ト、      / ./ ./ }  .'_    * |  +                                      │
│ ○o|   /! /.:.:.:.:l   .ハ. ` ー「`/ /  / /'} ./.:.:>   |o *o゚       ┌────────────────┐    │
│+ * | o / |<.:.:.:.:.:.:.:.:|    ト .. _|/ /  / ,ィ l .{,ィ´ | +゚l  ゚+・o     │……だって、嬉しいのですもの!!!  │    │
│。 +   / __ >――|    !   /  '  /  .i! / | ヘ  | o゚゚l  ゚+ *  <                           │    │
│ ・  ,'/:::::::`ヽ    !   .!  i        /  .「`::..、 ・o| +      │せっかくですから共有しませんと♥    │    │
│o.. /::::::::::::::::::::ハ  /    .!  !       ,イ  ハ:::::::::.ヽ | o゚ + o   └────────────────┘    │
│*  /:::::::::::::::::::::::::::∨     .' _|      /、|   ∧:::::::::::ハ ・o*゚                                      │
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│                        │……僕とおんなじはず、なのになぁ………… │                        │
│                        └───────────────────┘                        │
└────────────────────────────────────────────────┘


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319あずももも◆2RUSVh/QzhjH2020/10/15(Thu) 21:36:36 ID:286498c0


                ,. ´                  `丶            ヴィクターちゃん115話の2/2をお読みいただき
                 /                       \
               , '                      、      ヽ        ありがとうございました
             /                   ‘,     ゙、
           /    /       / /      ,'     } |      、
             '   /     //    / /      ||  .!   '、     はじめの方からの
           '   j      i/  ''オ'ァ|‐ 、    / ノ   .}    1
              j      リ  //,ィ’ |   i   //   ∥          シグナムちゃんの意味深な言動の数々
            ′  {      |,,メ__ノ゙   | i j_,斗    ー/|      i
         ′   r|    { |{'で守¨ミiトxl!j/  /   . , ′|`    }. !    その理由……でした
          /     { |     i l {^I::゚::メd ≠ァ''_,...ァ/  リ   j、 1
       /    ヘ!     ヘ | `' ‐-'′      んぅ=x、_j    ゙ \ '、
       /      .i    ..ハ{ .:.:.         fTc:ソ/,j》'   ,'   ヾ:、  ……ヴィクターちゃんのおはなしを終えてからの
      /         ハ     / `         丶 ヾ='°/ ./  /      `
     /        ,_ヘ  .iヘ、    r- 、     :.:. ,://  ./        あとがきでも、再度述べますが
     /          _亥h_ム|xy\   丶 ノ     '... ... /
    /        / ≫‐'j^トミヒ  丶、      _,.ノ1...  /
   /          / _,,.ノ:::l .{′      ./...ァ...'.T  ん、_V.../ _           サーバルちゃんのおはなしと混ぜ混ぜしなければ
 / /     ,.。x=<‐-、:::::l ト、    .f:::::ヽ、...i  .{ z三R三く
  /    /~´  ̄`ヽミ:.N |:::.:\.   ! `<::.丶、.. ! ´ :{ Y`ヾ           ここが転機となる……はずだった、「計画」でした
  /   /        ヽ`:| |:::.:::.:::\     V::.::.::i ト、 |1
    .'   \     1| {::、 、:::.:::.:ヽ=彡‐=i:::.:::.:::〉hL..|_|
                                           それではまた明日、よろしくお願いします


320普通のやる夫さん2020/10/15(Thu) 21:43:49 ID:cf02a7d9

上手い事やらないとこの世界初の人類同士の戦争が始まっちまうなぁ
豹変した娘に心髄する信者とか母上に見つかったら粛清待った無しじゃねコレ?

321普通のやる夫さん2020/10/15(Thu) 22:35:37 ID:628d92fc

すでに人類の半数が我が手に落ちた、いかほどの戦力が残っていようとそれはすでに形骸である。あえて言おう、カス(以下略)

322普通のやる夫さん2020/10/16(Fri) 01:05:21 ID:bb7a7ab9


恋シグ

275円

コメント

  1. 匿名 より:

    シグナムさんたちは元から国を裏切る未来も視野に入れていたからこそ、割とすぐにヴィクターのもとまでやってくることができたんですね。
    まぁ元から出奔とか謀反とか考えていたなら、ちょっとくらい先んじられてもパターンを読めそうですもん。